想像

過去の上映作品
[上映日程]8/14~20(休映:8/16)
*8月14日(土)14時35分からの回の上映後、太田信吾監督と文化芸術コーディネーターの野村政之氏によるアフタートークがあります。

“ 俳優の最大の武器 ”

俳優が演技を醸成させていくその地味な  
しかしドラマチックな  
リハーサルのプロセスをとらえたドキュメンタリー

[解説]
わたしたちが暮らす社会は「想像」という行為によって支えられている。道路で事故が起きないためにはどうすれば良いか?どんな料理を作ればお客が喜ぶか?障害を持った人が健常者と同じように通勤するためには何が必要か?わたしたちの生活空間はそのような多層的な想像、その実践の集積の上に成り立っていると言っても過言ではない。チェルフィッチュという演劇カンパニーを率いる岡田利規もまた、「想像」という営みを重要視する作家である。演劇作品における「想像」は多様なアウトプットの形を想定しうる。俳優の演技、美術や音楽、照明や客席づくり…彼の演劇のクリエーションがユニークなのは、「想像」という営みを俳優にも徹底して求めることだ。彼の演劇作品において、俳優は演出家の指示通りに動く着せ替え人形のような存在ではない。現場では演劇作品のクリエーションにおいて、演出家が想像を働かせるのと同様に、俳優も徹底して「想像」を行う。そしてその結果、生み出された動きや、それに伴う発話が、観客のイマジネーションを膨らませる。岡田は言う。「演劇が社会に対してできるだけ大きな効果を持って欲しい」鑑賞者は本作を通じて、岡田や若い俳優たちが取り組むクリエーションのプロセスから、「想像」の持つ大きな力を自らの中に再発見することになるだろう。その気付きが、誰かを、何かを、あなた自身が「想像」し、行動することに繋がることを願って、本作は放たれる。

[あらすじ]
世界的に注目されている演劇カンパニー・チェルフィッチュ。演出家の岡田利規は俳優の“想像”という作業を重要視して代表作「三月の5日間」のリクリエーションに挑む。本作はオーディションを経て選ばれた7人の俳優のうちの1人である板橋優里に焦点を当てる。本作は板橋が本読みからパリ公演まで二年間に渡りパフォーマンスを“想像”によって豊かにしていく過程を定点観測的に見つめる実験的な構成によるドキュメンタリー映画である。小道具やセットを極力、配したシンプルな舞台空間で俳優が”想像”だけを武器に充実したパフォーマンスを繰り広げるまでのプロセス、その映画は、「他者への想像」が希薄化した現代に痛烈な批評性をもって作用するだろう。

<チェルフィッチュとは?>
岡田利規が全作品の脚本と演出を務める演劇カンパニーとして1997年に設立。独特な言葉と身体の関係性を用いた手法が評価され、現代を代表する演劇カンパニーとして国内外で高い注目を集める。2007年『三月の5日間』にて国外進出を果たして以降、国内外合わせて90都市以上での上演歴を持つ。
HP:chelfitsch.net
Twitter:twitter.com/chelfitsch
Facebook:facebook.com/chelfitsch

<「三月の5日間」とは?>
2003年3月、アメリカ軍がイラク空爆を開始した日を含む5日間の若者達の日常を描く。若者のしゃべり言葉をそのまま書き起こしたような戯曲と、そうした言葉によって引き出される無意識な体の動きを過剰に誇張した身体とのスリリングな関係性が、それまで当たり前とされてきた劇構造を根本から覆し、日本現代演劇の転機として語られるチェルフィッチュの代表作。2005年第49 回岸田國士戯曲賞を受賞。2007 年クンステン・フェスティバル・デザールにて海外初演以降、世界30 都市以上で上演。また同作の小説版を含む小説集が第二回大江健三郎賞を受賞した。

『想像』
[2021年/日本/カラー/100分]
出演:板橋優里、岡田利規、朝倉千恵子、石倉来輝、渋谷采郁、中間アヤカ、米川幸リオン、渡邊まな実、山口博之、九龍ジョー
製作・監督・撮影・編集:太田信吾
配給宣伝:アルミード
©️ハイドロブラスト

◎公式サイト:sozo-movie.com

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