水を抱く女

過去の上映作品
[上映日程]6/19~7/2(休映: 6/21、28)

“ 愛が終わるとき、哀しき殺意のとき ”

官能的なバッハの旋律にのせて「水の精」神話が幻想的に蘇る──ミステリアスな愛の叙事詩

[解説]
『東ベルリンから来た女』などドイツの歴史を描き、社会派として知られる名匠ペッツォルト監督が、新作のモチーフに選んだのは「水の精」。「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して、水に還らなければならない」という切ない宿命を背負った女の物語を、現代都市ベルリンに幻想的に蘇らせた。
水の精の物語はペッツォルト監督のみならず、多くの天才アーティストたちにインスピレーションを与え、無数のバリエーションを生んできた。古くはギリシャ神話に根源となるモチーフを確認でき、アンデルセンはお伽話「人魚姫」を書き上げ、チャイコフスキーはオペラ、ドビュッシーは楽曲を創作した。ゲーテが「ドイツの真珠」と絶賛したロマン派のフリードリヒ・フーケが発表した傑作小説「ウンディーネ」は、現代でも読み継がれている。近年、再評価されている三島由紀夫の自伝的小説「仮面の告白」にも登場している。
妖艶なウンディーネを演じたのは、『婚約者の友人』や『ある画家の数奇な運命』のパウラ・ベーア。本作でベルリン国際映画祭とヨーロッパ映画賞にて女優賞受賞という快挙を成し遂げた。心優しいクリストフ役には『希望の灯り』のフランツ・ロゴフスキ。このふたりは、ペッツォルト監督の前作『未来を乗り換えた男』でも共演しており、稀有な才能の再タッグが、濃密な映像世界へと誘引する。

[あらすじ]
ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ。彼女はアレクサンダー広場に隣接する小さなアパートで暮らし、博物館でガイドとして働いている。恋人のヨハネスが別の女性に心移りし、悲嘆にくれていたウンディーネの前に、愛情深い潜水作業員のクリストフが現れる。数奇な運命に導かれるように、惹かれ合うふたりだったが、次第にクリストフはウンディーネが何かから逃れようとしているような違和感を覚え始める。そのとき、彼女は自らの宿命に直面しなければならなかった・・・。

『水を抱く女』
[2020年/ドイツ・フランス/ドイツ語/アメリカンビスタ/90分]
監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト
出演:パウラ・ベーア、フランツ・ロゴフスキ、マリアム・ザリー、ヤコブ・マッチェンツ 
原題:Undine
挿入曲:バッハ 協奏曲ニ短調(マルチェッロのオーボエ協奏曲による) BWV974 第二楽章アダージョ
日本語字幕:吉川美奈子
配給:彩プロ
© SCHRAMM FILM/LES FILMS DU LOSANGE/ZDF/ARTE/ARTE France Cinéma 2020

◎公式サイト:undine.ayapro.ne.jp

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