[INTRODUCTION]
小野田寛郎の30年間を描いた「ONODA 30 ans seul en guerre」(著:Bernard Cendoron)を元に着想、映画化された本作。監督は、フランス映画界で今最もその手腕が注目されているアルチュール・アラリ、今回は脚本も手掛けている。ほとんどの日本人キャストはオーディションにより選考、約4ヶ月間にわたるカンボジアでの撮影では、スタッフとキャストが一丸となって臨場感あふれるシーンを作り上げた。国際共同製作映画でありながら、ほぼ全編が日本語のセリフで紡がれているこの異色作は、第74回カンヌ国際映画祭2021にて「ある視点」部門でのオープニング作品に選ばれた。
1974年3月、作戦任務解除令を受けて51歳で日本に帰還した小野田寛郎(おのだ ひろお)、当時の日本では彼の存在自体が衝撃的な事件として大きく報道され、社会現象にまでなった。
彼のジャングルでの潜伏の日々をアラリ監督独自の視点で構成した本作は、小野田寛郎を知らない人にとっても共感できるメッセージの詰まった、壮大な人間ドラマに仕上がっている。