グレース【11/8~21】*11月のオープンダイアローグ対象作品

現在上映中の作品
[上映日程]11/8~21(休映:11/11、18)
*11月17日(日) 19時より、重澤珈琲(上田映劇内) にて、オープンダイアローグを実施致します

“ この不条理は私のもの——— ”

少女は旅に出て大人になる———
剥き出しの大地を舞台に描く、小さくも揺るぎない抵抗の軌跡

[INTRODUCTION]
2023年のカンヌ国際映画祭で上映された唯一のロシア映画として大きな反響を呼んだ本作。ソ連崩壊後から時間が止まったよう なロシア辺境の停滞と不穏を背景に、思春期の不安を抱える少女の成長を追ったロードムービーである。東欧の民話をもとにドキュ メンタリー出身のロシアの俊英イリヤ・ポヴォロツキーが監督した。この映画が撮影されたのはロシアによるウクライナへの軍事侵 攻が本格化する直前、2021年秋。直接的な描写はないが、映像の至る所に政治的な雲行きの悪さが感じられる。母親も友人もいな い。自分を守る家も法もない。生ぬるい共感や哀れみに一切なびくことなく、彼女はただやり場のない感情を沸々と溜め込んでいく。 果てのない漂流の先に彼女を救うものはあるのだろうか。剥き出しのロシアの大地を舞台にした小さくも揺るぎない抵抗の軌跡は、 私たちにあっけないほど美しい余韻を残すだろう。

[STORY]
ロシア南西部の辺境、乾いた風が吹きつけるコーカサスの険しい山道。無愛想 な目をした16歳の娘と寡黙な父親。二人は移動映画館で野外上映をし、ポル ノ映画の海賊版DVDを若者に密売しながら、錆びた赤いバンで北に向かって 旅をしている。母親の不在が二人の緊張した関係に影を落とし、車内には重苦 しい沈黙が漂っている。延々と続く荒涼とした風景と、そこで生きる人々との束 の間の出会い。やがて辿り着くのは世界の果てのような荒廃した海辺の町。娘 は先の見えない放浪生活から抜け出すためにある行動に出るが…。

『グレース』
[2023年/ロシア/ロシア語・ジョージア語・バルカル語/ヨーロピアンビスタ/119分]
監督・脚本:イリヤ・ポヴォロツキー
撮影:ニコライ・ゼルドビッチ
音楽:ザーカス・テプラ
出演:マリア・ルキャノヴァ、ジェラ・チタヴァ、エルダル・サフィカノフ、クセニャ・クテポワ
原題:Блажь|Blazh
配給:TWENTY FIRST CITY/配給協力:クレプスキュール フィルム

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