ジーナ・ローランズ追悼特集上映「ジーナとジョン~エモーションの肖像〜」【1/31~2/13】

今後の上映作品
[上映日程]1/31~2/13(休映:未定)

ジョン・カサヴェテス作品のミューズ
そして、世界中の映画人に愛された不世出の俳優
ジーナ・ローランズを偲ぶ

2024年8月14日、奇しくもこの世を去った俳優ジーナ・ローランズ。 ジム・ジャームッシュ、ウディ・アレンなど、数々の映画監督の作品に出演してきたが、彼女を語るうえで避けることができないのは、夫でビジネスパートナーのジョン・カサヴェテスの存在である。カサヴェテスが監督した映画11作品(実際には12作品)のうち、7作品に出演しているジーナ・ローランズ。今回はそのなかから厳選した4作品を、追悼の想いを込めて特集上映します。 自らの家を抵当に入れながら作品をつくったり、他の監督の作品に出演することで製作費を捻出したりと、常にアウトサイダーであり続けたジョン・カサヴェテスとその創作の糧となり礎となったジーナ・ローランズ。環境に適応できず、生きづらさを抱えた人々の「人生の今」を、撮り続け、演じ続けてきたふたり。今なお色褪せない(むしろ今こそ際立つ)、ふたりがフィルムに刻み込んだ刹那の〈感情〉と〈愛〉の閃光を、ぜひスクリーンで体感してください。

主催:上田映劇
配給:ザジフィルムズ

[上映時間]
*準備中

上映作品

『フェイシズ』 FACES
[1968年/アメリカ/ヴィスタ/モノクロ/130分]
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス 撮影・編集:アル・ルーバン 出演:ジョン・マーレイ、ジーナ・ローランズ、シーモア・カッセル © 1968 JOHN CASSAVETES

関係の破綻した中流アメリカ人夫婦の36時間を描く。男女の愛の葛藤を描いたカサヴェテス一連の作品の原点。自宅を抵当に入れて撮影した監督第2作。アカデミー賞3部門(脚本賞、助演男優賞、助演女優賞)にノミネートという成果を挙げ、ハリウッドにその存在を認知させた革命的傑作。ヴェネチア国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞。

『こわれゆく女』 A WOMAN UNDER THE INFLUENCE
[1974年/アメリカ/ヴィスタ/カラー/147分]
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス 製作:サム・ショウ 音楽:ボー・ハーウッド 出演:ジーナ・ローランズ、ピーター・フォーク、マシュー・カッセル © 1974 Faces International Films,Inc.

精神のバランスを崩した妻と、土木工事の現場監督を務める夫。壊れかけそうな家庭を繋ぎとめようとする夫婦愛を描いたカサヴェテスの代表作の一つ。脚本はジーナ・ローランズ主演の戯曲として執筆。ゴールデングローブ賞最優秀女優賞(ドラマ)受賞。アカデミー賞主演女優賞、監督賞ノミネート。

『オープニング・ナイト』 OPENING NIGHT
[1977年/アメリカ/ヴィスタ/カラー/144分]
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス 撮影・製作:アル・ルーバン 音楽:ボー・ハーウッド 出演:ジーナ・ローランズ、ジョン・カサヴェテス、ベン・ギャザラ © 1977 Faces Distribution Corporation

一人の有名舞台女優を通して、人が”老い”を自覚し始めた時に感じる焦燥や不安を描いた作品。ベルリン国際映画祭で銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞したジーナ・ローランズの演技は必見。カサヴェテス作品の中で本作が唯一「夫婦役」として共演している。

『ラヴ・ストリームス』 LOVE STREAMS
[1984年/アメリカ/ヴィスタ/カラー/141分]
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス 原作・共同脚本:テッド・アレン 撮影・製作総指揮:アル・ルーバン 音楽:ボー・ハーウッド 出演:ジーナ・ローランズ、ジョン・カサヴェテス、ダイアン・アボット、シーモア・カッセル © MCMLXXXIV Cannon Films, Inc.

他人を愛することに不器用ながらも、愛や孤独をテーマにした小説を書く弟と、その深い愛ゆえに狂気に陥っていく姉の内面の荒廃を描く。「愛、孤独、家族」を主題にしたカサヴェテス映画の集大成ともいうべき傑作。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。

ジーナ・ローランズ Gena Rowlands

1930年6月19日生まれ、アメリカ・ウィスコンシン州出身。1950年代から舞台に立ち始め、テレビ映画などにも出演するようになる。1954年に映画監督・俳優のジョン・カサヴェテスと結婚。「愛の奇跡」「フェイシズ」「ミニー&モスコウィッツ」など夫の監督作に出演し、狂気にとらわれてゆく主婦を演じた「こわれゆく女」でアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた。「オープニング・ナイト」では第28回ベルリン国際映画祭コンペティション部門の女優賞を受賞。家族を殺された少年を連れて逃げる女を演じた「グロリア(1980年)」で2度目のアカデミー賞主演女優賞ノミネートを果たした。3人の子供は映画監督・俳優として活動しており、長男ニック・カサヴェテスの「きみに読む物語」、次女ゾエ・カサヴェテスの「ブロークン・イングリッシュ」に出演している。2024年8月14日、カリフォルニア州の自宅で死去した。


(c)1974 Faces International Films,Inc.

ジョン・カサヴェテス John Cassavetes

1929年12月9日、アメリカのニューヨークで生まれる。
妻は女優のジーナ・ローランズで、長男のニック・カサヴェテスと次女のゾエ・カサヴェテスは映画監督として活躍。
テレビや映画で俳優としてのキャリアを積んだ後、出演したラジオ番組中の呼びかけで集まった資金を元手に製作した『アメリカの影』(1959)で監督デビュー。1968年、第2作の『フェイシズ』でアカデミー賞3部門(脚本賞、助演男優賞、助演女優賞)にノミネート。1974年の『こわれゆく女』ではジーナ・ローランズがゴールデングローブ賞最優秀女優賞(ドラマ)受賞、アカデミー賞主演女優賞、監督賞にノミネートされる。1977年の『オープニング・ナイト』ではベルリン国際映画祭でジーナ・ローランズが主演女優賞に輝き、1984年の『ラヴ・ストリームス』では同映画祭で金熊賞を受賞している。自らが俳優として得たギャラを製作費として注ぎ込みながら、素人とプロの俳優を共演させるなど、大手スタジオの介入がない自主製作による映画作りを信念とし、独自の映画世界を切り開いた。“インディペンデント映画の父”と呼ばれ、後世の映画監督たちに大きな影響を与えると存在になる。
1989年2月3日、肝硬変のためロサンゼルスの病院にて59歳で他界。

ピックアップ記事

関連記事一覧

Facebook