ルノワール “新しい波”【4/18~24】*ジャン・ルノワール生誕130周年記念/特集上映

今後の上映作品
[上映日程]4/18~24(休映:4/21~22)

2024年 ジャン・ルノワール生誕130年
今、出逢う、フランス映画の至宝。

映画が変革していった50年代末から60年代初頭、巨匠の軌跡を辿る珠玉の2作品。

巨匠ジャン・ルノワール、劇場初公開作を含む2傑作!
4Kレストア版で美しく甦る!

『大いなる幻影』『ピクニック』『フレンチ・カンカン』・・・、今なお世界中で愛される数々の名作たち。印象派の高名な画家オーギュストを父に持ち、その偉大な芸術家の遺伝子を受け継ぎながら、映画芸術の可能性を高め続けてきた20世紀を代表する巨匠ジャン・ルノワール。自由と生命を高らかに謳い、そして同時に人間や世界の裏の側面を容赦なく暴き出し、官能的なまでに艶やかな映像美と圧倒的なエネルギーに満ち溢れた唯一無二の映像世界を作り上げてきた不世出の映画作家。フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、ロベルト・ロッセリーニ、ルキーノ・ヴィスコンティ、ロバート・アルトマン、ダニエル・シュミット、ウェス・アンダーソン・・・、彼を敬愛する映画作家たちを挙げればきりがない。
今回の特集上映では、ルノワールの後期に焦点を当て、これまで日本ではあまり機会のなかった貴重な2作品『コルドリエ博士の遺言』『捕えられた伍長』を上映。時はフランス・ヌーヴェルヴァーグが映画の形を変容させていった50年代末から60年代初頭、ルノワールはいかにして映画と向き合い、物語を模索したか。生誕130年の節目の年にルノワールの珠玉の“映画芸術”をご堪能ください。

配給:アイ・ヴィー・シー

[公式サイト]
ivc-tokyo.co.jp/JEAN_RENOIR_130

[上映時間]
*準備中

上映作品

『コルドリエ博士の遺言 4Kレストア』
[1959年/アメリカ/スタンダード/モノクロ/96分]
出演:ジャン=ルイ・バロー、テディ・ビリス、ミシェル・ヴィトルド、ミシュリーヌ・ギャリ
© 1959 STUDIOCANAL – INA. All Rights Reserved.

それは神の領域に触れる禁断の実験。
『ジキル博士とハイド氏』をルノワール流に大胆に翻案。
「テレビ」「映画」「舞台」を交錯させた実験精神溢れる異端の作品!

当時、新たなメディアとして登場したテレビ向けの企画として製作された本作は、従来の映画とは違った演劇や舞台のスタイルを取り入れている。複数のカメラで同時に撮影する「マルチプルカメラ」の手法が採用され、ルノワールは俳優をカメラから解放しようと試みる。これにより俳優たちはカメラに向けて演技をするのではなく、自分のリズムとペースで演技をすることが可能となった。撮影前には入念なリハーサルが繰り返され、舞台演劇のように綿密な打ち合わせが行われた。ルノワールは50年代中盤から舞台演出も手がけており、「芝居でやった仕事から生まれた実験映画である」と本作について語っている。主演はマルセル・カルネの『天井桟敷の人々』(45)のジャン=ルイ・バロー。本作ではジキルとハイドをモチーフにした「コルドリエ博士」と「オパール」を見事に演じきり新境地を開拓。彼の優雅な身のこなしとダイナミックな演技は観るものを魅了する。ジャン=リュック・ゴダールとエリック・ロメールは本作をオールタイムベストの1本に挙げているほか、レオス・カラックスは2012年の『ホーリー・モーターズ』で本作のキャラクターにオマージュを捧げた「怪人メルド」を登場させている。

★国内劇場初公開

『捕えられた伍長 4Kレストア』
[1962年/アメリカ/ビスタ/モノクロ/107分]
出演:ジャン=ピエール・カッセル、クロード・ブラッスール、クロード・リッシュ、ジャン・カルメ
© 1962 STUDIOCANAL. Tous droits réservés.

ただひたすら、自由を求めて。
名作『大いなる幻影』の変奏ともいうべき傑作喜劇。
生の歓びを高らかに謳い上げるルノワール最後の人生讃歌!

何度失敗しても果敢に捕虜収容所からの脱走を試みる伍長の姿を通して、生きる歓びと素晴らしさを描いたルノワールの遺作。自身の代表作『大いなる幻影』(37)の変奏とも言える作品だが、シリアスでペシミスティックな『大いなる幻影』に対し、本作はより軽快なタッチと魅力的なキャラクター描写により軽快な喜劇に仕上がっている。ルノワールは「敗れた者の精神についての映画を作りたかった。『大いなる幻影』はその反対に勝者の映画だった。先の大戦は私たちに一つのことを教えてくれた。そこには敗者しかないということである」と語る。『フレンチ・カンカン』(55)の成功でフランス映画界へ復帰したルノワールだったが、その後の作品は不振が続き、晩年アメリカで暮らし母国へ帰ることは叶わなかった。何度失敗してもパリに帰りたいと願う本作の主人公の姿は、まさに自身の心情と重ね合わされていたのかもしれない。出演は『ブルジョワジーの密かな愉しみ』(72)のジャン=ピエール・カッセルと『はなればなれに』(64)のクロード・ブラッスール。エリック・ロメールは本作をオールタイムベストに挙げるほか、「カイエ・デュ・ シネマ」誌にてその年のベスト10に選出された。

★1962年ベルリン国際映画祭 金熊賞ノミネート
★1963年英国アカデミー賞 総合作品賞ノミネート

JEAN RENOIR ジャン・ルノワール

1894年9月15日、フランス、パリのモンマルトル出身。印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの次男として生まれる。学校中退後、第一次世界大戦に従軍。戦後の療養中にチャップリンなどの映画と出会い、映画監督を志す。1925年に妻で女優のカトリーヌ・エスランを主演にした『水の娘』で監督デビューを果たす。その後、本格的に映画を撮り始め、1937年の『大いなる幻影』でフランスを代表する映画監督となる。第二次世界大戦中にアメリカへ亡命し、ハリウッドで『自由への闘い』(43)、『南部の人』(45)などを完成させた。そのほかインドで『河』(51)、イタリアで『黄金の馬車』(52)などを製作した。 戦後、フランス映画復帰作となる『フレンチ・カンカン』(54)が商業的な成功をおさめた。しかし、その後の作品はヒットに恵まれず、失望したルノワールは再びアメリカへ渡り、フランスに戻ることはなかった。1979年2月12日、ビバリーヒルズの自宅で死去。84歳没。フランソワ・トリュフォーやジャン=リュック・ゴダールなどヌーヴェルヴァーグの監督をはじめ、ロベルト・ロッセリーニやルキーノ・ヴィスコンティなどネオ・レアリズモの監督、ロバート・アルトマン、ダニエル・シュミットなど世界中の映画監督に多大な影響を与えた。

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