[解説]
「イパネマの娘 」、 「想いあふれて」など、ボサノヴァファンでなくとも誰もが耳にしたことのあるこれらの名曲の数々は、その類稀なるギター演奏と甘美な歌声によって世界中にその名を知らしめた、“ボサノヴァの神様”と称される伝説的ミュージシャ ン、ジョアン・ジルベルトによって生み出された。2003年に初の日本公演を実現し、その後も2004年、2006年と来日を重ね、日本でも多くのファンを持つジョアン・ジルベルト。しかし、2008年8月26日にリオ・デ・ジャネイロで開催されたボサノヴァ誕生50周年記念コンサートへの出演を最後に、公の場に姿を現すことのないまま10年以上もの時が経った。フランス生まれでブラジル音楽を敬愛するジョルジュ・ガショ監督によるドキュメンタリー、 『ジョアン・ジルベルトを探して 』は、 ドイツ人ジャーナリストのマーク・フィッシャーが、ジョアン・ジルベルトに会うため、リオ・デ・ジャネイロに出向いた顛末を描いた1冊の本「Ho-ba-la-lá: À Procura de João Gilberto」をガショ監督が手に取った時から始まった。その懸命な追跡にも関わらず、マークはジョアンに会えないまま、本が出版される1週間前に自ら命を断ったという。ガショ監督は、マークの旅に強く共鳴し、彼の夢を実現すべく、ジョアンゆかりの人々や土地をブラジル中尋ね歩く。ジョアンの名曲の数々に、ミウシャ、マルコス・ヴァーリ、ジョアン・ドナートら有名ミュージシャン達、リオをはじめとするブラジルの美しい風景など、ジョアン・ジルベルトのファンのみならず、ボサノヴァファンも垂涎の音楽ドキュメンタリーがここに完成した。