[INTRODUCTION]
『ミッドサマー』『レディ・バード』『ムーンライト』など数々の話題作で知られる制作・配給会社A24が、またもや斬新な映画を届けてくれた。『Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック』は「これまで観たことがない」と評されたティーンムービーだ。本作は、オーガスティン・フリッゼル監督のほぼ自伝的映画である。主人公であるアンジェラとジェシーは、治安の悪い環境で違法行為を繰り返しており、お下品な会話も多い。一般的に、こうした若者、とくに女性を描く場合、経済格差や家庭環境など、社会問題にまつわるシリアス描写がつきものだ。しかしながら、監督が「自分と同じ境遇のティーンムービー」を志向した本作は、ゆるく明るいコメディタッチが貫かれている。当事者の視点から「困難のなかサバイブする女子たち」を魅力的に描く、新しく自由なガールズムービーとして誕生。アンジェラを演じたのはマイア・ミッチェル。オーストラリアの人気子役出身で、ディズニー映画『ティーン・ビーチ』シリーズほか、人気ドラマ『フォスター家の事情』で知られる気鋭の若手俳優だ。ジェシー役には、モデル出身のアメリカ人、カミラ・モローネ。本作出演後には、2019年、サンディエゴ国際映画祭のライジング・スター賞に輝いている。キャストオーディション中、偶然同室していたミッチェルとモローネを目にした監督は「この2人しかいない」と即断をしたという。この映画を観終わった我々観客もまた、同じように感じるはずだ。