ぼくの名前はズッキーニ

過去の上映作品

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』をはじめ、『チェブラーシカ』や『ウォレスとグルミット』がマスターピースとして知られる
ストップモーション・アニメーションの世界に新たな傑作が登場した。

世界中の映画祭を席巻!!

2016年のアヌシー国際アニメーション映画祭で最優秀作品賞と観客賞の2冠を射止め、第89回アカデミー賞では長編アニメーション部門にノミネート、フランスのアカデミー賞であるセザール賞では最優秀長編アニメーション賞とともに、実写映画を押さえて、最優秀脚色賞を受賞した本作。フランスに続き、アメリカでもズッキーニ旋風を巻き起こし、全米映画批評サイトRotten Tomatoesでは満足度100%という驚異の高評価を叩き出した。人気監督グザヴィエ・ドランがタキシード姿のズッキーニ人形を自身のInstagramにアップしたことも話題になった。

時間をかけてつくられた、心揺さぶる物語

膨大な時間と情熱をかけた、アナログで素朴な味わいとティム・バートンを思わせる個性溢れるキャラクターに加え、本作の最大の魅力はそのドラマの素晴らしさだ。9歳の少年“ズッキーニ”が思わぬ事故で母親を亡くしてしまうエピソードから始まる物語は、舞台が孤児院に移ると、子供たちの明るい歓声と光に彩られはじめる。複雑な事情を抱える子供たちは、様々な大人に囲まれながら、明日への希望を見出していく。小さな初恋、スリリングな救出作戦、男の子同士の友情など、ユーモアにあふれ、切なく、そして心温まる珠玉の物語。ラストシーンに流れるのは、スイスの歌姫ソフィー・ハンガーが歌う「Le vent nous portera」。“風が僕たちを運ぶよ”とささやく哀愁のある歌声が感動の余韻を深く心に焼き付ける。
監督、脚本を務めたクロード・バラスは、本作品が長編デビューの今最も期待されるアニメーション作家。ジル・パリスによる原作に魅せられ、大人向けの原作を世界で虐待にさらされる子どもたちへの応援歌として脚色。子どもたちの豊かな想像力を信じる思いに貫かれた物語に、大人も子どもも夢中になり、心をわし掴みされずにはいられない。

笑い、泣き、恋を知る。青空の下、子供達の声が駆け巡る───

いつも屋根裏部屋でひとりで絵を描いて遊んでいる少年イカールは、ママと二人暮らし。パパが“若い雌鳥(女性)”のもとに去ってしまってから、ママはビールを飲んでは怒ってばかり。ある日、いつものようにビールの缶でタワーを作って遊んでいる時、ママは不慮の事故に遭い、帰らぬ人になってしまう。事故を担当した警察官のレイモンは、ママがつけた“ズッキーニ”という愛称を大切にしているイカールを不憫に思いながらも、孤児院「フォンテーヌ園」に連れていく。
クラスメイトは、リーダー格のシモン、アメッド、ジュジュブ、アリス、ベアトリスの5人。入所当日からズッキーニへの手痛い洗礼が始まる。ズッキーニは「ママのところへ帰りたい」と訴えるが、園長から「それは無理なの。ママはお空に行ったでしょ」と静かに諭される。
ズッキーニの心の傷を知ったシモンは、他の子どもたちもそれぞれに複雑な事情を抱えながら園生活を送っていることを明かす。そして「皆、同じさ。誰にも愛されていない」とつぶやくのだった。それ以来、ズッキーニは、心の痛みを共有する友として、シモンたちと打ち解けていく。

そして、園に新しい入園者、カミーユがやってくる。カミーユはズッキーニと意気投合し、園を照らす太陽なような存在になっていく。
季節はめぐり、冬が到来。園の子どもたちは、スキー合宿に出かける。ダンスパーティーや雪合戦で盛り上がる子供たち。深夜、眠れないズッキーニとカミーユは、こっそり宿を抜け出した。月明かりの銀世界の中、カミーユは言う「ここに来て、あなたに会えてよかった」。
そんなある日、カミーユの叔母が、扶養手当欲しさに姪を引き取ると言い出し、園に乗り込んできた。「同居するなら死ぬ方がまし」というカミーユに、「絶対行かせないよ」と誓うズッキーニ。子供たちはある作戦を立てるのだった。

監督:クロード・バラス
脚本:セリーヌ・シアマ
日本語吹替キャスト:ズッキーニ:峯田和伸、カミーユ:麻生久美子、レイモン:リリー・フランキー、シモン:浪川大輔

上映期間

4/28(土)~5/11(金)

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