生誕90年記念 タルコフスキー、アトモスフェア *オープンダイアローグ対象作品(『惑星ソラリス』)

過去の上映作品


[上映日程]9/17~30(休映:9/20、26)

濃密な世界観を支えてきたタルコフスキーの大気圏(アトモスフェア)
いまその圏域へと———

映画大学の卒業制作『ローラーとバイオリン』。労働者セルゲイと少年サーシャの魂が交流するとき、そこにはかならず、大気にゆらめく官能的な光の戯れがあった。以来、その作品空間に繰り返しあらわれる人間の生の条件として、人の心が交わる不可欠の媒介としての濃密な世界観を支えてきたタルコフスキーの大気圏(アトモスフェア)。いまその圏域へと──

■上映作品
『ローラーとバイオリン』1960 年│ソビエト│カラー│46 分
『僕の村は戦場だった』1962 年│ソビエト│モノクロ│94 分
『アンドレイ・ルブリョフ』1967 年│ソビエト│モノクロ&カラー│182 分
『惑星ソラリス』1972 年│ソビエト│モノクロ&カラー│165 分
『鏡』1975 年│ソビエト│カラー│110 分
『ストーカー』1979 年│ソビエト│カラー│163 分
『ノスタルジア』1983 年│イタリア・ソビエト│モノクロ&カラー│126 分

監督:アンドレイ・タルコフスキー
主催:上田映劇/協力:ザジフィルムズ、パンドラ

ローラーとバイオリン
[1960年/カラー/スタンダード/46分] 

1961年ニューヨーク国際学生映画コンクール第一位

バイオリンが得意な少年サーシャは、近所の少年たちにいじめられているところを、労働者のセルゲイに助けられたのをきっかけに友だちになる。しかしサーシャの母親はそれを快く思っていなかった。ラモリスの『赤い風船』に刺激された作品とのことである。

僕の村は戦場だった デジタル・リマスター版
[1962年/モノクロ/スタンダード/94分]

1962年ヴェネツィア国際映画祭サン・マルコ金獅子賞
1962年サンフランシスコ国際映画祭監督賞

舞台は第二次世界大戦下のソビエト。両親と妹をドイツ軍に殺され独りぼっちになり、復讐心に燃える12才の少年イワンは、パルチザンに協力し、危険をおかして敵の占領地域への偵察活動に従事するが…。戦争の悲惨さと虚しさの浮かび上がる傑作である。

アンドレイ・ルブリョフ
[1967年/モノクロ&カラー/シネスコ/182分]

1969年カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞
1973年ジュシー賞(フィンランド)外国語映画賞 他多数

時は15世紀初頭。アンドレイたち僧侶は雨の道中、権力を風刺した旅芸人が捕らえられるのに遭遇した…。ロシア最高のイコン画家アンドレイ・ルブリョフの生涯を描きながら、当時のロシア社会の真実に迫った意欲作。ロケ地となったノヴゴロドなどの古都も美しい。

惑星ソラリス デジタル・リマスター版
[1972年/モノクロ&カラー/シネスコ/165分]
原作:スタニスワフ・レム著「ソラリスの陽のもとに」

1972年カンヌ国際映画祭審査員特別賞 他多数

世界SF映画史上に金字塔を打ち立てた作品。海と雲に覆われ、生物が確認されていない惑星ソラリスの海は理性を持つと科学者は考え、海と接触しようと試みるが失敗。宇宙ステーションは混乱に陥り、地上との交信は途切れる…。極限状態にある人間の心に焦点を当て、哲学的 命題を観客に投げかける。


[1975年/カラー/スタンダード/110分]

タルコフスキーの自伝的要素の濃い作品。過去と現在の交差から<私>の記憶が蘇る。家族の許から去った父。母の職場の同僚の死。第二次世界大戦、文化大革命、中ソ国境紛争など、激動の世界情勢を通し心象風景が形づくられる。母の場面に流れるのは、タルコフスキー自らが詠む実父アルセニー・タルコフスキーの詩である。

ストーカー 
[1979年/カラー/スタンダード/163分]
原作:ストルガツキー兄弟著「路傍のピクニック」

1980年カンヌ国際映画祭エキュメニカル審査員賞
1983年ファンタスポルト映画祭観客審査員賞

隕石でも落ちたのか大地に突然現れた空間ゾーン。<願掛けの部屋>があると言われ、ストーカーと呼ばれる三人の案内人の男がいる。雨、水、火などを駆使して規制の多い当時のソビエト社会の暗喩と、そこに生きる人々の苦悩と未来への希望を描く。タルコフスキーの名を世界映画史に刻印した作品。

ノスタルジア
[1983年/イタリア=ソ連/カラー/ヴィスタ/126分]
©1983 RAI-Radiotelevisione Italiana.LICENSED BY RAI COM S.p.A.-Roma-Italy, All Right Reserved.

カンヌ国際映画祭創造大賞、国際映画批評家賞、エキュメニック賞受賞

イタリア、トスカーナ地方。病に侵されているモスクワの詩人アンドレイと通訳のエウジェニアが、18世紀ロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を辿る。混迷の世界とそれを変える心を叙情的に描き出す。主人公アンドレイの詠む詩は、タルコフスキーの父、アルセニーによるものである。

アンドレイ・タルコフスキー|Andrei Arsenyevich Tarkovsky

1932年4月4日~1986年12月29日
2022年で生誕90周年を迎えるソヴィエト出身の映画作家、アンドレイ・アルセニェヴィチ・タルコフスキー。長編監督作は7本と寡作だが、水、雨、光など自然を駆使した抒情的な作風により映像の詩人と呼ばれ、世界中の映画ファンを虜に。ソ連からフランスに亡命して僅か2年後、54才で肺ガンによりパリで客死。

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