鈴木清順監督生誕100年記念「SEIJUN RETURNS in 4K」

過去の上映作品
[上映日程]2/9~22(休映:2/13、19)

鈴木清順監督生誕100年を記念して、〈清順美学〉の頂点であり、日本映画界が誇る世紀の名作『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』が4Kデジタル完全修復版で新たに甦る!

没後なお、〈清順美学〉と呼ばれる独自の映像美で、熱烈な支持を得ている映画監督・鈴木清順。その圧倒的評価は日本だけに留まらず、ウォン・カーウァイ、ジム・ジャームッシュ、クエンティン・タランティーノ、デイミアン・チャゼルなど多くの映画人からリスペクトを得ています。その監督作品の中でも『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』、『夢二』の三作品は【浪漫三部作】と呼ばれ、その絢爛たる映画術の成熟が頂点を極めた代表作として知られており、日本映画界が誇る最高傑作と言っても過言ではありません。
この度鈴木清順監督の生誕100年を記念して【浪漫三部作】の4Kデジタル完全修復版を制作し、特集上映「SEIJUN RETURNS in 4K」を開催いたします。世界中の映画作家たちのインスピレーションの源となった傑作群を、ぜひスクリーンで体感してください。

[上映作品]
『ツィゴイネルワイゼン』 (1980)
『陽炎座』 (1981)
『夢二』 (1991)

4Kデジタル完全修復版監修:『ツィゴイネルワイゼン』志賀葉一、藤澤順一 『陽炎座』『夢二』藤澤順一
デジタル修復:IMAGICAエンタテインメントメディアサービス
提供・配給:リトルモア 共同配給:マジックアワー

[公式サイト]
littlemore.co.jp/seijun4k

[上映時間]

作品紹介

『ツィゴイネルワイゼン』
[1980年/日本/スタンダード・サイズ/カラー/144分]
出演:原田芳雄、大谷直子、藤田敏八、大楠道代、麿赤兒、樹木希林、真喜志きさ子
監督:鈴木清順
原作:内田百閒
脚本:田中陽造
撮影:永塚一栄、照明:大西美津男、美術:木村威夫、多田佳人、録音:岩田広一、音楽:河内紀、編集:神谷信武、記録:内田絢子、スチール:荒木経惟、製作:荒戸源次郎

*1980年度 キネマ旬報ベストテン日本映画第1位
*第35回毎日映画コンクール:日本映画優秀賞/脚本賞(田中陽造)/主演女優賞(大谷直子)/助演女優賞(大楠道代)受賞
*第31回ベルリン国際映画祭 審査員特別賞
*第31回芸術選奨 文部大臣賞(鈴木清順)受賞
*第26回キネマ旬報賞:日本映画監督賞(鈴木清順)/脚本賞(田中陽造)/主演女優賞(大谷直子)/助演女優賞(大楠道代)受賞
*第23回ブルーリボン賞:監督賞(鈴木清順)/特別賞(シネマ・プラセット=新しい映画製作・上映活動に対して)受賞
*第4回日本アカデミー賞:最優秀作品賞/最優秀監督賞(鈴木清順)/最優秀助演女優賞(大楠道代)/最優秀美術賞(木村威夫)/優秀脚本賞(田中陽造)/優秀主演女優賞(大谷直子)/優秀助演男優賞(藤田敏八)/優秀撮影賞(永塚一栄)/優秀照明賞(大西美津男)受賞

原田芳雄を主演に迎え、現実と幻想が交錯した極彩色溢れる〈清順美学〉の代表作。
【浪漫三部作】誕生の一篇。

士官学校教授の青地と無頼の友人・中砂を中心に、青地の妻周子、中砂の妻と後妻をめぐる幻想譚が、妖しくも美しく描かれる本作。内田百閒の「サラサーテの盤」ほかいくつかの短篇小説を、生と死、時間と空間、現実と幻想のなかを彷徨う物語として田中陽造が見事に脚色。1980年、東京タワーの足下に設営されたドーム型移動映画館シネマ・プラセットの初製作・上映作品として、単館上映としては異例の約10万人の動員を記録。第31回ベルリン国際映画祭審査員特別賞をはじめ、第4回日本アカデミー賞最優秀作品賞、1980年度 キネマ旬報ベストテン日本映画第1位など、国内の映画賞を独占した。

『陽炎座』
[1981年/日本/スタンダード/139分]
出演:松田優作、大楠道代、中村嘉葎雄、加賀まりこ、原田芳雄、楠田枝里子、大友柳太朗、麿赤兒
監督:鈴木清順
原作:泉鏡花
脚本:田中陽造
撮影:永塚一栄、照明:大西美津男、美術:池谷仙克、録音:橋本文雄、音楽監督:河内紀、編集:鈴木晄、記録:内田絢子、製作:荒戸源次郎
*1981年度 キネマ旬報ベストテン日本映画第3位
*第27回キネマ旬報賞:助演男優賞(中村嘉葎雄)/助演女優賞(加賀まりこ)受賞
*第5回日本アカデミー賞:最優秀助演男優賞(中村嘉葎雄)/優秀脚本賞(田中陽造)/優秀助演女優賞(加賀まりこ)/優秀撮影賞(永塚一栄)/優秀照明賞(大西美津男)受賞

美しい女たちの愛と憎しみの渦に引き込まれ翻弄されながら、現世ともあの世ともつかない妖しい世界をさまよい歩く主人公に、鈴木清順の大ファンだったという松田優作を迎えた三部作第二弾。

大正末年の1926年。新派の劇作家・松崎春孤は、落とした付け文が縁で品子という美しい女に会う。その後三度続いた出会いをパトロンの玉脇に話すが、品子と一夜を共にした部屋が、玉脇の邸宅の一室とそっくりなことを発見して…。〈清順美学〉と豪華な俳優陣との邂逅によって、より妖艶に、より耽美な映像世界が繰り広げられている 【浪漫三部作】の第二作。奔放華麗な色彩美と意表をついた映像は「フィルム歌舞伎」とも呼ばれ、驚きとともに大きな喝采を浴びた。美しい女たちの愛と憎しみの渦に翻弄される男を演じた松田優作には、他の出演映画では見ることが出来ない、弱い男ゆえの魅力に満ち溢れている。原作は耽美派的世界の巨匠・泉鏡花の同名小説。『ツィゴイネルワイゼン』に引き続き田中陽造が脚本を担当。

『夢二』
[1991年/日本/ヨーロッパ・ヴィスタ/128分]
出演:沢田研二、坂東玉三郎、毬谷友子、宮崎萬純、広田玲央名、大楠道代、原田芳雄、長谷川和彦、麿赤兒
監督:鈴木清順
脚本:田中陽造
撮影:藤澤順一、照明:上田成章、美術:池谷仙克、録音:橋本文雄、音楽:河内紀、梅林茂、編集:鈴木晄、記録:内田絢子、洋装:永沢陽一、写真:荒木経惟、製作:荒戸源次郎

大正浪漫を象徴的に生きた男に想を得て、清順美学はいよいよここに炸裂!
女たちとの愛憎を漂泊し、詩を画にうたいあげた画家・竹久夢二を沢田研二が見事に体現。

画家・竹久夢二は恋人の彦乃と駆け落ちするため、金沢近郊の湖畔へと向かう。だが彦乃は現れず、湖上で夫の死体が浮かび上がるのを待つ女・巴代と出会う。逢瀬を重ねる夢二と巴代だったが、巴代の夫・脇屋の影が忍び寄り…。芸術家ゆえの苦悩に苛まれながらも、紙風船のごとく軽やかに色香をただよわせる男を『カポネ大いに泣く』につづいて沢田研二が見事に演じる。赤く染まる紅葉の金沢を舞台に、妖艶かつ壮大な幻惑譚が繰り広げられ、【浪漫三部作】の掉尾を華麗に飾る。宝塚歌劇団でトップを極めた毬谷友子が主役級での映画初出演を果たし、『太陽を盗んだ男』の監督ゴジこと長谷川和彦が俳優デビュー、そして坂東玉三郎は初の本格的な「男役」での登場と、清順映画ならではの豪華な顔ぶれがスクリーンを彩り、いよいよ華麗な、目も綾なスペクタクルの花火が打ち上がる!

鈴木清順

1923年5月24日、東京日本橋生まれ。本名は清太郎。43年に学徒出陣により応召。復員後の48年、旧制弘前高等学校卒業、松竹大船撮影所の助監督試験に合格。同期に松山善三・井上和男・斎藤武市・中平康などがいる。54年、製作再開した日活に移籍し滝沢英輔・山村聰・佐伯清に就いたのち、野口博志に師事する。56年、本名で『港の乾杯 勝利をわが手に』で監督デビュー。58年に鈴木清順と改名。プログラム・ピクチュアの巧い作り手として評価され、以後名作・快作・佳作を連打する。67年に発表した40本目の作品『殺しの烙印』が当時の日活・堀久作社長の逆鱗に触れ、翌年4月日活から一方的に専属契約を打ち切られる。同時期、シネクラブ研究会が清順作品の上映を計画するも、堀社長はプリント貸出を拒否。それによって映画関係者やジャーナリズムを巻き込んだ「鈴木清順問題共闘会議」が発足(71年12月に和解)。この間、70年にフジテレビ「恐怖劇場アンバランス」の一環として監督した「木乃伊の恋」(放映は73年)やCMの演出、シナリオなどを執筆。77年『悲愁物語』で劇場用映画に復帰。80年に発表した『ツィゴイネルワイゼン』、続く『陽炎座』(81)、『夢二』(91)の三作が“浪漫三部作”として国内外で評価される。また「日本映画監督協会俳優部」を自称し、俳優としてテレビドラマ「ムー一族」「美少女仮面ポワトリン」や、映画『ヒポクラテスたち』『不夜城』など多数出演する。01年『殺しの烙印』を自らリメイクした『ピストルオペラ』。05年、長年温めてきた企画『オペレッタ狸御殿』をチャン・ツィイー、オダギリジョ-主演で発表し、カンヌ国際映画祭・栄誉上映特別招待作品として招待された。017年2月13日、都内にて逝去。81年芸術選奨文部大臣賞、90年紫綬褒章、96年勲四等旭日小綬章。06年に第24回川喜多賞受賞。

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